この記事を読んで分かること。
- ”一般化”とは何かが分かる
- 教師の経験を一般化するとどうなるかが分かる
- 深い背景を持つアピールを作る方法が分かる
- 見出したアピールを使うときの注意点が分かる
Kurin(くりん)です。
転職活動の出発点である自己分析。
教師から民間企業への転職を目指す方にとっては、特に重要な行程です。
書類選考や面接において、自分自身が求人業務を遂行できる人材であるアピールをする時には
これまでの仕事の経験=教師の経験
を利用して戦わなければなりません。
そして世間ではよく、
教師は民間企業では使えない。
教師は数字を追った経験がないから転職では使えない。
という評価をされてしまいます。
こういったイメージをを覆すための武器も教師の経験を利用しなければなりません。
これまでの記事ではそれを可能とするための準備を行ってきました。
2種類の自己分析を行って、ひとつは自分の選択の軌跡を整理。
もうひとつは教師の経験に具体性をつけてきましたね。
そして今回がその集大成。
教師の経験を自己アピールへと昇華する作業
を行います。
例として扱うKurinの教師の経験を確認しておきましょう。
・1クラス40人の担任を8年間経験=320人を担任
・8年間のうち4回の3学年担任経験=120名の進路実現に深く関わる
・1人15分の3者面談を1日20名実施し、スケジュールのズレが起きなかった
・前年度の進路実績から課題を分析し国公立大学40%の合格率を20%向上
・国公立大学で倍率10倍を勝ち抜かせる出願指導
・国公立大学薬学部に前例のない得点帯からの逆転合格を指導
それぞれの業務に数的根拠を持たせましたね。
でもこれだけだったら教育業界でしか通用しない…
自己アピールに繋げるための”一般化”とは?
- ”一般化”とは?
-
特殊の物・事・場合から、普遍的な法則や概念を引き出すこと。
- 別の言い方で説明すると?
-
個別の事柄から広く当てはまる概念を抽出する
個別の事柄から他の事柄にも当てはまるような共通点を見出す
国語教師だった私にとっては身近なものでした。
”一般的な言い方に言い換える”と考えると分かりやすいかもしれません。
どういったものになるのかは見た方が早いので、私の例を一般化していきましょう。
- プレゼン力、人前で話す経験
- 自己実現をサポートした伴走経験
- 傾聴力
- タスク・スケジュール管理(顧客)
- 同僚への指導経験
- タスク・スケジュール管理(自分)
- 業務改善経験
- 基本的なパソコンスキル
教科指導→プレゼン力、人前で話す経験
学級担任・進路指導部員・クラブ指導→自己実現をサポートした伴走経験
という感じで言い換えています。
一般化の定義の通り、具体的なものから普遍的な特徴を抽出しました。
このような表現だと他の業界や職種でも十分求められるものになっており、転職活動の場においても教師の経験を武器として戦うことができるようになります。
しかし一般化の作業はこれだけで完成というわけではありません。
全ての人にとって”教師”一時期は身近な存在で、その業務がどういうものか漠然と知っているという方がほとんどです。
ただその実際は一般的に想像されているよりも複雑なのですが、それに気づいていない(知ろうともしていない)方もいます。
教師は数字を追った経験がない
というのもそのひとつですね。
そういう方が企業の採用担当者だった場合、一般化した自己アピールを自分の中でうまく言い換えられたと思っていても、
教師の経験を根拠とする説得力を持つものだと理解してくれるとは限りません。
教師って数字を追ったことがないですが、そういう世界ではやっていけるとは思えないです。
このような指摘を実際の面接ではっきりと言われた経験もあります。
どう切り返すかを試していたのかもしれませんが…。
そのためただ単に類似の要素に一般化をするのではなく、
どの経験からのスキルであるのか
どうしてそういえるのか
を丁寧に説明できる状態にしておく必要があります。
職務経歴書では限られた文字数の中、説明をしなければなりません。
面接では説明に時間を取りすぎるとアピールもできなくなりますし、間延びして印象がよくありません。
そのため簡潔に説明ができるようによく練っておきましょう。
一般化した自己アピールとその根拠を整理すると次の通り。
・40人を対象にした約1時間の授業を週18コマ=年間約850回超の授業
・一方的に相手に話すのではなく、対象生徒の理解や納得を目的としている
・1人15分の3者面談を1日20名実施し、スケジュールのズレが起きなかった
1つのアピールの中に複数の業務が含まれるものがあります。
そういったものが強い根拠を持ったアピールであると言えます。
説得力を増すためのエピソードをより多く提示することができるので、強いアピールポイントになりますね。
私の場合は特に”自己実現をサポートした伴走経験”と”業務改善経験”が強みと言えるでしょうか。
これで2種類の振り返りを使った教師経験の強みを見出す作業は終了です。
どの自己アピールを使用するかは応募する業界・職種・求人業務によって異なります。
選別をするための”業界研究”・”企業研究・企業研究”は別の記事をご用意しておりますので、そちらを御覧ください。
では残るは最後の作業である、2つの自己分析を繋げ、深い背景を持った自己アピールへと昇華する行程です。
人生選択の軌跡を繋げる!深い背景を持った自己アピールへ!
先述に通り、私は以下の点を自己アピールとして挙げました。
・プレゼン力、人前で話す経験
・自己実現をサポートした伴走経験
・傾聴力
・タスク・スケジュール管理(顧客)
・同僚への指導経験
・タスク・スケジュール管理(自分)
・業務改善経験
・基本的なパソコンスキル
これらを説明する教師の経験も具体的に挙げられるようになりました。
そこに更に説得力を加えるために、ここでは
それらを重要視することになった経験は何か
という問いを立てます。
こう聞くと難しいかもしれませんが、
教師という職業を選ぶことになったのはなぜか?
という問いに対して、
①生徒に伴走したかった(寄り添いたかった)から
②誰かに何かを教えたかったから
③変化の多い業界でより良いものを取り入れられる仕事に就きたかったから
というような自己アピールに繋がる理由を答えることができると思います。
この理由を確立させた”原体験”を添えることで、教師の業務以前の背景を持った強い自己アピールとなります。
そして、これが可能なアピールこそ転職の軸となることができる自己アピールです。
なぜなら自分自身の選択の軸となる経験を背景に持つため、それが働くことのやりがいに繋がるからです。
その繋がりが業界や職種・求人業務と親和性を持つ部分になります。
①人と親身に関わった、関わってもらった経験
②自分の直接のサポートが誰かの役に立った経験
③新たなものを取り入れた、アレンジをした経験
私の場合は、特にこれらを【①自分自身の半生を振り返る】で見出したものからピックアップしました。
それを利用して【業務改善経験】の自己アピールを考えてみると以下のようになります。
私は過疎化の進んだ山間部の出身です。
同級生が10人未満というほどの規模の町で、住民の方からは「地域の子」として大切に育てて頂きました。
この生まれた環境が後の私の「生まれ育った地域に貢献したい」「人と親身に関わる仕事をしたい」という職業観に繋がっているのだと思います。そんな環境でしたので地元の小学校・中学校に進んだ私には、遊びや勉強において選択肢が少なく、楽しみを増やしたり効率を良くしたりするために自分なりに工夫をする習慣が身につきました。12年間の教師経験における、
・前年度の進路実績から課題を分析し国公立大学40%の合格率を20%向上
・欠席連絡を電話からフォーム入力へと移行を推進し、担当部署の逼迫を解消する(電話連絡8割減)
・採点ソフトの導入を主導、40%の効率化に成功
・新しいカリキュラムに対応した言語活動をICTを用いて実施。情報科教員から県内で前例がない取り組みだと言われるという業務改善の実績はこのような経験が根底にあるのだと考えます。
具体的な取り組みも、どうしてそれにこだわるのかも述べられており、
応募求人が
”新たなものを生み出していく”
”イノベーションを歓迎する”
というものであれば、応募する理由にもなり、納得のできるアピールになり得ると思います。
自己アピールの構成は
【選択の背景+教師の業務】
とおぼえておきましょう!
さいごに。どのアピールを使うかは求人次第。
これで自分自身の強みを見出す作業は終わりです。
ただ残念なことに、これだけ時間をかけた作業の全てを使用することはできません。
どれを使用して転職活動に向かうかは、
応募する求人の業界・職種・業務内容によるからです。
書類選考や面接は
【求職者側】
自分自身が希望求人に適う人間であることをアピールをする場
【企業側】
求職者が募集求人に適う人間であるかを確認する場
です。
アピールするためには自分自身への深い理解だけでは足りません。
相手=転職を希望する世界”
を理解していないと的はずれなものになってしまいます。
これがわかっていないために、教師の経験から見出したアピールポイントを闇雲に羅列する方もいます。
そうなると
個人で完結する業務の求人なのに
コミュニケーション能力をアピールする
親身に他者と関わる伴走経験をアピールする
といったことが起こります。
求人を出している企業は募集求人の業務で戦力として活躍できる人を求めています。
それを行えるアピールができていないと評価されないのは当たり前ですよね。
その自分自身と応募する求人の業界・職種・業務内容との親和性を見るための業界研究・企業研究の方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
これで自己分析は終了!
自分に合った求人を探す段階へと進みましょう!
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