私は12年間公立高校で国語教師として勤め、2024年4月に人材紹介会社にキャリアアドバイザーとして転職しました。
入職してから感じてきたことは【入職実体験報告】として定期的に発信しています。
これまでは基本的にはポジティブな印象のものが多く、教職を離れた寂しさはあるものの転職そのものを後悔するようなことはありませんでした。
しかし、今回始めて”辞めたい”、”転職して後悔した”と感じることがありました。
教師から転職して後悔…。その理由は自分のことではありませんでした。
私は毎朝、妻より早く出勤します。
家を出る際には妻が玄関で見送ってくれるのですが、ある日…
今日は私、仕事を休む。
もうしんどい。
と言いました。
当時の妻の仕事は多忙な上に、職場での人間関係にも疲弊し精神的にも身体的にも限界が来ていたのだと思います。
休日も寝ている時間が多くなっていたり、表情を見ていても心配になるほどでした。
家を出る寸前、妻の辛さを目の当たりにした際、
早く帰って一緒にいてあげたいのに、いることができない…。
と泣きそうになりました。
教師という仕事は段取りがつけやすい特徴が揃っている
自分にも割り当てられた業務があるので簡単に仕事を休むことはできませんし、それは教師であろうと会社員であろうと変わりません。
しかし、教師であったならば放課後に行うはずのクラブ活動や様々な業務は早めに片づけたり同僚に任せたりできたはずです。
現在は営業職に属するので顧客もいますし、事業部やその中でチームに分かれていますが自分自身の業務を誰かに肩代わりしてもらうわけにはいきません。
また、定時上がりをしづらい雰囲気もありどうしてもいつも通りの帰宅時間になってしまいます。
そもそも私が教師をやめようと思った理由は、
家族との時間をきちんと確保するため
でした。
その家族には妻だけでなく実家にいる親や義両親も含まれます。
教師時代には土日にクラブ指導があり、他界した父の晩年になかなか会いに行けませんでした。
また父の他界直後に足を悪くした母のサポートもなかなかできず、もどかしい思いをしたのも転職のきっかけです。
平日は仕方ない、でも土日はきちんと時間を確保できる仕事をしたい
そう考えて転職をしたにもかかわらず、会社員の平日の融通の利かなさによって家族との時間を持てなくなってしまいました。
そんなことは入職する前から分かっていたことかもしれません。
しかし、私の中で土日に家族との時間を取ることができなかった後悔が強く、そこまで考慮できていなかったのが事実です。
平日は仕事の日。
教師時代より帰宅時間は遅くなるかもしれないけれど、その分、休みの日は一緒にいられるから。
と思って選択しましたが、一緒にいるべき日は土日だけではありません。
一緒にいたくてもいられない。
それを考え始めたときに、教師の業務形態や福利厚生は貴重だったのだと思いました。
有給休暇も企業では法廷通りの10日程度が多いですが、私のいた自治体では20日以上は取得できます。
また副担任、副顧問などサブにあたる教師も配置されているため、都合が悪くなった際の引継ぎもスムーズに行えます。
学年団、分掌などもひとつのチームとして動くため、協力して業務を行うという意識は強いですよね。
その一方、授業準備は個人による作業で、言ってみれば授業実施日までに段取りができていれば問題ありません。
単元が分かっていれば早めにまとめて準備をすることができます。
同僚との協力もできる一方で、業務の多くは個人や学校内で集約する
これは教師の仕事の良さなのだと転職をして気づきました。
転職が家族にかけている負担
もひとつ、気がかりなことがあります。
転職をすると、自分自身だけでなく家族の生活の仕方にも変化が出るのは間違いありません。
私の場合は、平日の帰宅時間が遅くなることで夕食を取るのが別になることが増えました。
これは言い換えると、平日に家族と一緒に過ごす時間が減ったということでもあり、妻を独りにしてしまっている時間が増えたということです。
日々感じるストレスの多くは平日の仕事で抱える、という方も少なくないでしょう。
そんな辛さの多い平日に一緒にいる人がいないということも妻に負担をかけてしまっているのかもしれません。
平日に遅くなるのは気にならないよ。
と転職前も転職後もいつも言ってくれていますが、”潜在的にストレスを溜めてしまっているのではないか”、”本人は言わないけれどストレスになっているのではないか”と心配でなりません。
”私の転職という決断が妻に負担をかけているかもしれない”と考えてしまうことも後悔を感じる理由の1つだと思います。
教師に戻りたいのか、というと…。
教師はやりがい以外にも魅力的だったのだと改めて実感しました。
では教師に戻りたいのかというと、そうとも言い切れません。
なぜなら教師に戻ると休日に家族と過ごす時間が無くなってしまうからです。
結局は別の後悔に繋がってしまうので、戻るという選択肢は私にはないと思います。
となると別の道も考えるべきなのでしょうか。
転職して数か月の身で次のことを考えている場合ではないだろう…。
と思われるかもしれませんが、大切にすべきものを失うために転職したのではありません。
とはいえ、もし次のステップを考えるにしても今いる場所で最善を尽くすべきなのは間違いありません。
現状、仕事の内容に大きな不満はなく、業務にかかわるストレスは少なくなりました。
精一杯結果を出せるように励むだけなのですが、現職を生涯の仕事先として見るのが難しいのも事実です。
今後どんな選択を取るにしても、自分自身を助けてくれるのは今の自分の頑張りです。
未来の自分や家族を助けるためにも今を精一杯生きたいと思います。
さいごに。教師から転職を考えている方へ。
さいごに、教師から民間企業への転職を考えている方へのメッセージです。
教職から離れようとしている方の多くは、その理由が自分自身に起因するのはないでしょうか。
やりがい、ストレス…その理由はもっともなものです。
教師を辞めることで自分自身の抱える問題は解決するかもしれません。
職場が変わりますから自分の生活が一変するのは当然ですが、その隣で家族の生活にも少なくはない影響を与えています。
それがどれほどのものなのか。
想像以上に環境の変化が家族に与える影響は大きいです。
転職自体は悪いものではないですし、私自身、救われたものも多いです。
しかし、転職先を見極める際には自分のことだけでなく、家族のこと、周囲のこともしっかり考慮したうえで決断をしてください。
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