転職をしようか悩んでいる教師の皆さんはネット検索でたくさん情報を収集していることでしょう。
その中でよく目にするのが
教師 転職 使えない
教員 転職 後悔
といったネガティブなキーワードです。
その字面を見るだけでも落ち込みますよね…。
しかし、その内容をよく見てみると
それって個人の問題じゃないの…?
教師以外の職業の方が転職する場合にも言えるのでは…?
と思うようなものも少なくはありません。
そこで今回は
世間で言われている”元教師は使えない”、”教師は転職をしてもやっていけない”という指摘
について、どんなものがあり、それが妥当なのかどうかについて解説していきたいと思います!
”元教師は使えない”、”教師は転職をしてもやっていけない”という指摘…。
どんな理由から言われている?
では、はじめに世間ではどのような理由から
”元教師は使えない”
”教師は転職をしてもやっていけない”
と言われているのでしょうか?
- 民間企業での勤務経験がない
- 民間企業で働く能力がない
- 教師の常識は社会の非常識
- ミスへの許容
- 偉そうな態度を取ってしまう
- 転職先のミスマッチ
- 年収の差
- 休暇取得の難易度
- やりがいの差
これらの指摘に関する私の見解はこちらです。
事実かどうか | 教師全員に当てはまるか | 企業からの転職では? | |
---|---|---|---|
民間企業での勤務経験がない | 事実 | 当てはまる | 当てはまらない |
民間企業で働く能力がない | 事実 | 人による | 人による |
教師の常識は社会の非常識 | △ | 人による | 該当せず |
ミスへの許容 | 事実 | 当てはまる | 当てはまらない |
偉そうな態度を取ってしまう | △ | 人による | 人による |
転職先のミスマッチ | △ | 人による | 人による |
年収の差 | 事実 | 当てはまる | 人による |
休暇取得の難易度 | 事実 | 当てはまる | 人による |
やりがいの差 | △ | 人による | 人による |
民間企業での勤務経験がない
教師から民間企業への転職で思い悩む大きな理由の1つとしてこの民間企業での経験のなさが挙げられます。
転職してやっていけるかどうか不安
転職活動で評価されない大きな要因になる
どんな面でも重くのしかかってきます。
これが事実なのかどうかというと、当然ですが覆しようのない事実です。
多くの教師は大学を卒業後、そのまま教職の道へ進みます。
それは民間企業での勤務機会がないまま教師になるということなので、企業での勤務経験がないのは当たり前です。
ではどうして”元教師は使えない”、”元教師は民間企業でやっていけない”と考えられてしまうのかと考えてみると、
- 民間企業で働く能力がない
- 教師の常識は社会の非常識
- ミスへの許容
- 偉そうな態度を取ってしまう
が挙げられると思います。
これらについて説明していきたいと思います。
民間企業で働く能力がない
これまで従事してきた世界が違うため、このような指摘をされることがよくあります。
この指摘の根底にあるのは
追求する利益の差
であると私は考えます。
教師の追求する利益 | 民間企業の追求する利益 |
---|---|
児童生徒の自己実現 | 民間企業の金銭的利益 |
他者のため | 自己のため |
教育活動の提供 | 自社サービスの提供 |
簡単に言うと、お金が絡むか絡まないか、ということです。
金銭的利益を生むための業務経験のなさ=能力がない
と考えられているのだと思いますが、私は教師全員に当てはまるものではないと考えています。
前提として、教師には金銭的利益を追追求した経験はありません。
しかし、そこに関わる行程はすでに経験しているものも多いです。
- 説明、プレゼン
- 電話対応
- パソコン作業
商品を売り出す際には、相手に納得をしてもらわなければなりません。
相手の反応を見つつ、理解してもらうというのは授業と建付けは同じです。
人に説明をするということには慣れていますよね。
また、保護者対応などで電話をかけることもよくありますし、授業の資料作りや学事管理もすべてパソコンで行っています。
最近では全てパソコンで授業をする方も増えてきましたよね。
そのため、
内容は異なるが、全くしたことのない業務ではない
ということになります。
私自身、顧客や法人への電話をかけること自体に抵抗はありませんでした。
むしろ嫌な連絡をしなければならない家庭への電話よりも気楽です。
ただ、やはり経験を企業で求められている内容に合わせてブラッシュアップをする必要があります。
教師時代の経験を活かしながら、足りない部分を補う意識が大切ですね。
教師の常識は社会の非常識
教師の常識は社会の非常識。
教師は世間知らずだ。
という言葉もよく聞きます。
どういった側面から、この言葉が出てくるのかを調べてみると、
マナーを知らない
ということが指摘されていました。
- お茶出しの仕方
- 上座、下座の場所
- お客様の案内
- 敬語が使えない
会社での業務を離れて、”公共の場で声が大きい”、”他人の子どもに話しかける”といったものもありました。
確かに新卒であれば、社会人マナーとして学ぶべき項目の1つであり、新卒レベルのことを知らないというのであれば確かに”非常識だ”という認識を持たれても仕方がないかもしれません。
しかし、上座下座や敬語に触れる機会は教師もありますよね…?
来客対応をする時や目上の方と接するときにはもちろんこういったマナーは意識して動きます。
普段は子どもたちと接するのが中心ですが、保護者もそうですし、外部の方の対応は案外多いものです。
そのため、個人の経験や意識の度合いによる部分が大きいのではないでしょうか?
そういった経験が少ない方が多いということなのでしょうか…?
ミスへの許容
起きてしまったミスの大きさに関する指摘もありました。
教師のミスは取り繕うことも訂正することも比較的容易です。
プリントの誤字脱字
解答の誤り
1文字の誤りも子どもたちから指摘され、初めて気づいたということも少なくはありません。
あ、ごめんごめん。
直しておいてください!
といったことを言った経験も多いと思います。
これが可能なのは、
ミスが軽度なものである
訂正をする機会が多い
ということが背景にあると思います。
テスト問題に誤りがあっても、テストの時間中に実施されている各教室を回ることができます。
授業中の誤りであれば、次の授業機会で訂正ができます。
一方で、企業では1つのミスが大きな損害を生む可能性があります。
それは相手が利害関係のある対象であり、ミスにより信用を失い、取引自体がなくなることがあります。
また誤発注のニュースも度々目にしますが、無駄な費用が発生してしまうことも起きかねません。
それは個人が責任を負うには重すぎるものでもあります。
そのためミスに対する認識の甘さはどこかにあるかもしれませんね。
偉そうな態度を取ってしまう
大学を卒業後、すぐに教師になった方で右も左もわからないまま担任になった方もいると思います。
ずっと子どもたちを管理する側に立っていることから、
一番上の立場にいることに慣れてしまっていて、横柄な態度を取る
ということを言われます。
学校という空間は確かに関わる人間の種類は多くありませんし、その管理者としての教師が立場上、上のように思われるのも間違いではありません。
その中で間違いを指摘されても素直に受け入れられなかったり、分からないことを分からないと言えなかったりする人もいるでしょう。
ただそれは民間企業でも同じなのではないでしょうか?
1つの企業である程度年数を重ねていくと、部下を持ち管理する側になっていきます。
その状況が長くなると、役職から自分そのものが偉いと勘違いしてっている人もいるのではないでしょうか?
転職先のミスマッチ
こちらは転職先の業務内容が思っていたものと違っており、能力を発揮できなかったり、ストレスを感じてしまっている状況に陥るということらしいです。
入職後、思っていたのと違った…。
というリスクは転職には必ず付きまといます。
そのため元教師だけが陥る状況ではないのは確かですが、教師にその傾向が強いのは事実です。
なぜならどんな業界・職種に就くにしろ、民間企業への入職は完全に未経験での入職になるためです。
経験のある業界・職種での転職であればどういった世界か、どういった業務かというのは想像が簡単です。
それがない教師にとっては”入ってみないと分からなかった”という部分はどうしても多くあります。
そのギャップの大きさがこのような形で指摘されているのではないでしょうか?
やりがいの差
教師はやりがいの大きな職業だと言われます。
それは先ほども述べた、利益追求の違いによるものだと思います。
関わる子どもたちの自己実現が達成されるという利益追求が達成されたときに、教師にもたらされるのは
よかったなぁ…!
という思いです。
生徒の自己実現をどれだけサポートしたからといって、待遇がよくなることはありません。
給料が上がることもありませんし、昇進もありません。ただ、
自分の関わりが子どもたちの人生を前進させた
というやりがいは他は味わうことができません。
教職を離れることは、それを感じられなくなることになりますので、
自分は必要とされているのだろうか…?
と感じてしまうことも多くなるのではないでしょうか。
そのやりがいに加えて、転職をすると分からないことだらけですし、立場も一番下になってしまいます。
そういった対馬のギャップから自分の存在意義に疑問を持ってしまうのかもしれませんね。
年収の差
”使えない”とは少しずれるかもしれませんが、教師の年収は高めに設定されています。
種類 | 平均年収 |
---|---|
小・中学校教師 | 740万円 |
高等学校教師 | 680万円 |
会社員 | 461万円 |
それは平均年収を見てもわかります。
この差があるため、転職をする際にはできるだけ給与水準が下がらないように努力をしますよね。
中には”前職の給与を考慮します”と言ってくれる企業もあり、教師の比較的高めの給与に近い待遇で入植ができた方もいるでしょう。
給与が高いということは、それに比例した働きを求められるということでもあります。
そのため、
高い給与をもらっているのに、全然使えないな。
と思われる可能性があるかもしれません。
教師の給与の高さは、転職そのものを難しくさせていている要素の1つなのですが、「高く貰っているだろう」ということからその給与に合わない働きぶりを”使えない”と思われるかもしれませんね。
休暇取得の難易度
”使えない”というよりも”やっていけない”という意味で言われているのが休暇の取得です。
教師の業務の多くは1人ではなく、複数の教師が関わりながら行われます。
「主」と「副」
が付き、メインで従事する教師とそれをサポートする教師がいますよね。
担任・副担任
主顧問・副顧問
などが挙げられます。
また教科指導も同じ科目を担当する教師間で協力して行います。
そのため急遽休みを取らなければならなくなった場合もそうですし、前もって予定が分かっている場合でも休暇の都合がつけやすいです。
また取得可能な日数も、民間企業でよく言われる10日よりもはるかに多く、1年で使いきれない程です。
それをイメージしながら民間企業へ転職すると働きづらくなったと感じてしまうかもしれませんね。
世間の”元教師は使えない”イメージ。多くは「その人による」が答えだが…。
事実かどうか | 教師全員に当てはまるか | 企業からの転職では? | |
---|---|---|---|
民間企業での勤務経験がない | 事実 | 当てはまる | 当てはまらない |
民間企業で働く能力がない | 事実 | 人による | 人による |
教師の常識は社会の非常識 | △ | 人による | 該当せず |
ミスへの許容 | 事実 | 当てはまる | 当てはまらない |
偉そうな態度を取ってしまう | △ | 人による | 人による |
転職先のミスマッチ | △ | 人による | 人による |
年収の差 | 事実 | 当てはまる | 人による |
休暇取得の難易度 | 事実 | 当てはまる | 人による |
やりがいの差 | △ | 人による | 人による |
ここまで元教師は本当に使えないのか、よく言われる指摘に関して考えてみました。
結果は、
その人によるとしか言えないのでは…?
と思えるものが多くありました。
教師と言う職業は誰もが一度は接したことがある存在です。
学校という環境で10年以上過ごす中で接している職業ですから、どういった仕事をしているか想像もしやすいです。
ただ、その想像は誤っているものも多くあります。
夏休みは先生もお休みでいいねえ。
と言われたこともありますが、学校が休みでも仕事は休みにはなりません。
休みの間には別の仕事が待っています。
教師と言う身近な存在を、学生という一方的な目線からしか見ていないために偏見も持ちやすくなっているのではないでしょうか。
ただ、”その人による”とは言ったものの、そういう傾向に陥りやすいというのは間違いないと思います。
それは利益追求の違いに分かるように教師と言う特殊な仕事もそうですし、未経験の業界へ足を踏み入れることによる要素もあります。
私自身、教師から企業へ転職してやれている実感を持つ一方で、ギャップも感じています。
周囲からの評価も悪くはなく、頑張っていると言ってくれています。
上司からは、
新人の模範ともいえる業務内容だ
とも言ってもらった経験があります。
実際に元教師が転職を経験した生の声をまとめた記事も用意していますので、そちらもぜひ参考にしてください。
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その方の努力次第で”使えない”かどうかはどのようにもなります。
ただ、謙虚な姿勢で努力が必要なのは間違いないですね。
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